【Flower stories】ヤマブキ~みのひとつだになきぞかなしき
ICHIKAWA Kazuhiroです。
ようやくお披露目できます。
タイトル【みのひとつだになきぞかなしき】
このお話は、史実に基づいた作品になっています。
主人公は、【太田道灌】という武将。
室町時代(1432年~1486年)に活躍した武将です。
太田道灌という名前は、あまり知られていなくても、【山吹伝説】という逸話は知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
落語にも、この伝説をもとにした【道灌】という演目があるようです。
実は、道灌、以前は”武術だけ”優れた武将でした。
しかし、このヤマブキの一件から、文の勉学に励み、文武両道の一流の武将になったと言い伝えられています。
作品中のように、もの凄く落ち込んだかは定かではありませんが、
自分の劣っているところを素直に反省し、精進するところは現代にも通ずる教訓ですね。
さて、肝心の植物の方の【ヤマブキ】ですが、
バラ科ヤマブキ属の落葉低木で、4月から5月ごろ黄金色の花を咲かせます。
「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」の
歌の中に八重とありますので、八重咲のヤマブキだったのでしょう。
実は、八重咲のヤマブキは、雄しべが花弁になり、雌しべも退化しているので【実らない】そうです。
【実のひとつない】は本当に【実がない】わけです。
こんな話から、植物の生態を知れるというのも面白いですね。
ちなみに学名のKerria japonicaですが、
japonicaは、【日本の】を意味します。日本原産ということですね。
Kerriaは、スコットランドの植物学者・ガーデナーの【ウィリアム・カー】さんが由来です。
当時、未知な植物の宝庫だった中国に、植物採集に出向いた最初のプラントハンターの一人だったようですね。
園芸品種の「ヤエヤマブキ」 cv. Pleniflora(プレニフロラ)を(おそらくイギリスに?)持ち込んだという業績から、
William Kerrの名前に因んで、ヤマブキの学名を【Kerria】と名付けた、ということらしいですよ。
Kazuhiro_Ichikawa【Instagram】https://www.instagram.com/kazu_ichikawa/